バズった【手取り25万】から教員が考える小学校で教わる統計:平均と中央値の使い道〜日常が教材研究〜

教材研究

8月9日「手取り25万」と言うキーワードがトレンドキーワードとしてバズっていました。それに続き、「25万どころじゃない、手取り5000兆円欲しい!」ということがTwitterで起こり、その後、「5000兆円」もトレンド入りする、という流れとなりました。

その元となるデータは、国が出しているものもあるのですが、そうやって、データを元にして考える、ということを小学校の算数の中でも勉強していきます。

今回は、そんな実際に大人になっても使うんだよシリーズで統計の平均や中央値について紹介していきます。

平均年収が436万円なのに、中央値は370万円という謎

平均よりも中央値の方が66万円も低いという謎な統計結果があります。以下、Google先生で検索した画面です。

この数値を見て「これはやばい」と危機感を感じるのか、それとも「平均より中央値が低いのなんでだろうなー」または、「中央値って?」となる方が大人でもいると思います。

大人になって、数字が読めるか読めないかというのは大きな差を生むと感じています。数字を読む、というのは数値から意味を読み解く、という意味ですね。

もちろん、簿記まで学ばないにしても、お金の流れや価値など、数字が読めないのは人生損すると私は考えます。

ここでは、中央値が370万円って、多くの人が生活苦しくないのかな?や将来不安じゃないのかな?などということは一旦わきに置いておきます。(ここでその話をしだすと、それてしまうためです。決して目を逸らして良い問題ではありません)

中央値・平均とは?5年算数で指導する基本の用語から解説

5年生の算数で平均は指導することになっています。習ってないけど、なんとなく子供も意味はわかっています。しかし、「じゃ、どういうことか説明してくれる人いる?」と聞くと、「真ん中らへん」や「大体真ん中」「みんなの真ん中」「偏差値で言うと50」など例で説明しようとする人もいます。あとは塾で習った人は、習った通りの定義を説明してくれます。

平均とは、全ての数値を足して、データ数で割ったもの。

要は、全部足して、データの個数で割った値のことです。これを概数にしたり、なんだりという問題が出てくる単元ですね。学校によるとは思いますが、平均の学習の時には、電卓の使用を許可する場面も多くありました。ここでは、正しく計算する、と言うことよりも、考え方を学ぶ、と言うことを私は重きに置きました。だがしかし、テストの時には自力でやってね、ということは授業の時から約束しておきました。先手を打つのは大事です。

(少人数指導の算数で、一番進度の速いグループでは「電卓なんていらない」なんて人もいるので、それは実態に合わせたらいいと思います)

中央値とは、データを全て大きさ順に並べたときに真ん中にくる値です。(大きい順でも小さい順でも同じです)

子供達の平均のイメージはどちらかというとこちらの方が近いのかも知れないと感じます。

以下、具体的なデータの例をご覧ください。こちらは上記の年収の話の続きですね。

このように、平均は約401万なのに、中央値は340万になる理由が表にしたり、式に表すことでわかりやすい、と言う良い例ですね。だから、数値は大事である!と言うことを伝えるのに、良いと私は思います。

平均よりも中央値が低いということから、考えられること

ここからは、進度の速いグループなどで子供たちに考えさせられると面白い題材だと思います。算数的だけでなく、社会にも関係する横断的な学習になると思います。

平均値よりも、中央値の方が低いことを簡単に説明するとしたら、「ダントツ大きい数の数値が含まれるから」や「平均を大きく上回る数値があるから」などが子供から出てくると思います。算数としては、それでOKですよね。それをもう少し深掘りして、「それってどういう現状や背景があるのか?」と子供たちに問うことで子供たちなりに色々と考えて発言すると思います。

この発問をしても良い実態と、しづらい実態とあると思いますので各学級の様子に合わせて行なってみてください。そもそも、5年生の子供たちにとって親の年収も、先生の年収もわからないですし、毎月どれくらいお金があれば生きていけるかも、知らないので家庭科の「住」の学習とも横断的に出てるとさらに深まりますね。

このデータを見て、すごいお金持ちは一部で多くの人はそんなに裕福ではない、なんていう絶望的な結論で終わるのだけは避けたいですね。世も末だ。こんな社会には出たくない、というマイナスイメージを植え付けることがゴールだとまずいので、ではどうするのか、と言うキャリア教育まで関連付けると面白いですね。

一方で、かの有名な2ちゃんねる創業者「ひろゆき」さんによると「手取り25万なんて生きていくのに、十分」という見方もあります。年収250万であれば、実家暮らしでは十二分ですよね、など、どう生きるかなんてことも考えられるといいなと思います。

まとめ

「手取り25万」というトレンドキーワードから、考察した5年生算数の「平均」の学習の発展問題について私なりに考えてみました。こうやって、日頃からものの見方が「これ授業に使えるかも」と考えてしまう職業病は時にものの見方を広げ、深めてくれるので楽しいものでもあります。それが本当に授業になるか、形になるか、子供たちが食いついてくれるか、どんな反応を示してくれるのかなど、課題は山積ですが、考えること自体が私の趣味ですね。

この先、日本が先進国ではなくなるであろう20年後。明るい未来を作り上げるような子供たちに育って欲しいと心から願い、日々精進あるのみですね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました